研究メンバー
ご挨拶
近代化・産業化が進んだ現代、「公」と「私」との間の様々な「共」、本来であれば、路地・小広場、街路・中広場、大通り・広場、まち・むら、都市・地域の段階に入れ子状に形成されるはずの「コミュニティ」が弱体化し、機能不全を起こしています。このことは、自然を含めた私たちの「いのち」を分断し、その輝きを妨げています。
「新たな防災」とは、「防災」そのものを目的とするものではなく、「防災」という活動を通して、人口減少、コミュニティの衰退、産業の衰退、社会格差、気候変動など、現代における様々な社会課題・地球規模課題に立ち向かい、解決に向けた活動を継続することによって「共」を復活させ、私たちの「いのち」を輝かせることです。たとえ災害がおとずれなくとも、「新たな防災」の活動は、人や社会を未来に向けて持続的に発展させていくことになるでしょう。
本部門では、このような問題意識に立って、これからの行財政システム、デジタル技術、水系管理、交通システム、土地利用、建築・土木構造物、建築・都市エネルギーシステムにおける様々な試みや実践を通じて、公 – 共 – 私の関係を再構築する研究・教育・社会貢献を進めます。
メンバー紹介

私は、社会経済地理学者として山村・離島・炭鉱閉山地域・大都市圏内部などにおける、人口減少地域社会(縁辺地域)の調査・研究に携わってきました。日本のほか、ドイツ・スウェーデン・スペインなどで調査を行い、地域変動・イノベーション・ネオソサエティなどの理論的研究にも目配りをしています。このNew-PODのプロジェクトにおいては、地理学者としての経験をふまえながら、土地利用・地域生活機能・人口移動・地域開発・地域性などに関する視点から防災・減災を考えていきたいと思います。

経済学をベースに、日本の公共政策の在り方を研究しております。豊かな日本を実現するために、公共にはどのような政策が求められているのか。特に、インフラ政策は重要です。ただし、無限にお金があるわけではないので、費用対効果を重視し、効率的・効果的なインフラ整備が求められます。国民一人一人が、どのようなインフラが実現可能で価値があるのかを考え、インフラ整備により豊かな日本が実現することを、私も研究を通じて応援していきたいと思います。

情報通信をめぐる法と政策に関する研究、情報通信技術(ICT)をはじめとする科学技術の研究開発及び利活用をめぐる倫理的・法的・社会的課題(Ethical, Legal and Social Issues [ELSI(エルシー)])に関する研究等に取り組んでおります。例えば、最近では、防災、都市計画、交通、建設、ヘルスケア等多様な分野においてシミュレーション、最適化、効果・影響・リスク評価等の用途での利活用が進みつつある「デジタルツイン」に関し、その構築、運営及び利活用をめぐる倫理的・法的・社会的課題(ELSI)の研究をも手掛けております。New-PODの目指すところである「命を大切にする未来社会を具現化するための「新しい防災」の学術体系の構築と社会的実践」に貢献できるよう鋭意取り組んでまいります。

先進ネットワーク環境におけるビッグデータ解析・処理技術および人工知能を用いたユーザの行動予測技術について研究開発を行っています。これらの技術は、スマートシティの都市計画や防災計画など、高度情報社会における「いのちを守る、いのちを育む」基盤として大きく貢献できると信じ、教育・研究に邁進しております。

情報通信技術は防災においては不可欠であり、例えば発災時には迅速で正確な人々の情報収集や分析が求められます。平時においても常に人々の位置や行動を理解し、災害時に備える技術が必要となります。私が専門とするモバイルコンピューティング・パーベイシブ コンピューティングの様々な技術が少しでも防災に役立つよう努力していきます。

形を成す「モノ」に対して価値を見出してきただけの過去は終わりに近づき、形を持たない「情報」が資産となる現代において、それら情報を大切に守ることが重要になっています。一度でもその情報が漏洩したり窃取されたりすると元の何も無かった状態に戻すことは絶対にできません、さらには自身がたとえばSNSなどへ発信した情報も取り消すことすらできない、今やそんな時代です。サイバーセキュリティは技術的ないし専門的な分野に思われがちかもしれませんが、そのほとんどは「ヒト」が絡むすべての領域に関係するものです。だからこそ「情報」を守ることは人のいのちを守ることと等価です。私たちすべてが生活など全てにプラス・セキュリティを意識しなければならない社会に気付かぬうちにもう入り込んでいます。

エージェントベースシミュレーションを使った群集・避難の研究に取り組んでいます。個々のエージェントの相互作用により群集の挙動が再現され、複雑な人間の行動パターンを理解するための強力なツールとなります。また、実世界と仮想世界を接続したデジタルツインの可視化によって避難計画の策定や大規模イベント時の群集制御に新たな洞察をもたらします。このような研究成果を活用し想定外を想定内に変えていくことで、新たな防災に貢献できればと考えています。

現代社会は、気候変動や資源エネルギー問題、インフラ維持管理の問題や産業イノベーションなど、様々な長期的課題、すなわちサステイナビリティ問題に直面しています。これらは、将来世代に影響しうる問題です。将来世代を考慮した意思決定と行動を生み出すための新たな社会の仕組みが求められる所以です。私は、将来世代に持続可能な社会を引き継ぐための新たな社会の仕組みをデザインし実践する「フューチャー・デザイン」を主な研究対象としています。また、これらの仕組みや方法論・技術を、実際の政策立案や社会・技術システムの設計等に応用すべく、自治体や政府、産業界などのステークホルダーとの共創をベースに研究や実践を進めています。防災は、まちづくりやインフラの維持管理、ライフスタイルや価値観など、多元的要素を考慮しつつ長期的観点からの検討が必要であり、フューチャー・デザインがまさに貢献できる分野です。

専門分野である「複合材料工学」「信頼性工学」「工学教育」を軸に、数値シミュレーション、マルチスケール解析技術、機能創成デザイン、リスクコミュニケーション等の研究を異分野連携・産学連携により推進しています。中でも、石油化学分野におけるタンク火災・気体拡散を対象に、数値シミュレーション及び実験による被害想定や減災効果の評価を行っています。また、防災・リスクコミュニケーション分野を対象に、「フューチャー・デザイン」×「教育」として将来可能性教育の取組みを高大連携により推進しています。防災を自分事として実感して頂き、将来可能性を育むため人材育成としての教育活動を展開しています。

海の技術は脱炭素社会を支える。洋上風力発電施設、大型浮体プラットフォーム、大型船舶などの海の大型構造物を対象とし、必要な流体構造連成解析、構造デジタルツイン技術を研究しています。

土木工学分野のうち地盤工学、地盤環境工学を専門としています。地盤に関わる自然災害や環境汚染の防止や軽減、対策を目的とする技術の確立はもとより、土地の成り立ちと災害リスクの関係をわかりやすく市民の皆様にお伝えする教育コンテンツの検討や、いのちを育む場や食糧生産の基盤として将来世代にどのような土地(地盤)を継承していけばよいのかを皆様と一緒に取り組みたいと考えています。

都市、住宅・建築物ストック、エネルギー基盤を対象として、気候変動緩和策(二酸化炭素排出量の削減)の研究をしています。気候変動緩和の分野では、都市やエネルギー基盤のあり方を変えていくことが必要になります。防災の観点からは非常時でも信頼できるしくみとすることが必要となります。この両者のバランスをとったうえで、持続可能な都市・地域、くらしへ移行していくことが重要です。研究・取り組みを通して、移行の過程に貢献していきたいと考えています。

建築計画を専門とし、特に美術館環境における鑑賞者の回復や愛着を研究しております。人々の心身に好影響を与える構築環境のあり方を多角的に考え、命を大切にする未来社会づくりに一助となれば幸いです。

機械工学、パルスイオンビームアブレーション工学、核融合炉工学を専門分野として、これまでに京阪神の様々な公的機関や大学で技術調査、技術評価、技術移転、産学連携、知財の取得や活用、資金調達、中小・ベンチャー企業の支援業務に携わってきました。これまでに得た知識や経験、ネットワークを活かしつつ、「新たな防災」を軸とした命を大切にする未来社会の研究のお役に立ちたいと願っています。

私は現在、Web3を活用した仕組みを通じて、コミュニティを形成し、その力を引き出す取り組みを進めています。地域の人々がしっかりとつながり合うことで、結果として新たな防災につながると考えているからです。一人ひとりの小さな社会貢献を透明に可視化し、信頼関係を育てることで、地域全体の安全や「いのち」を守ることを目指しています。また将来的にはDAOの導入を通じて、地域が自ら活性化し、自走できる仕組みをつくっていきたいと考えています。

貝塚総合政策部公共施設マネジメント室長として、奉職しております。生産年齢人口が減少し税収の伸び悩みが予測される一方で、公共施設やインフラの老朽化に伴い、維持管理や更新にかかる費用が増加しており、各自治体共通の問題として顕在化してきております。そうした状況の下、公共施設やインフラの維持管理等につきまして、安全で安心な公共施設やインフラを提供するため自治体の枠を越えて連携していこうとする機運が泉州地域で高まっており、貝塚市を中心として広域連携や官民連携の取組みを進めているところであります。さまざまなステークホルダーと連携を強め、市民のいのちを守る取組みに貢献したいと思います。

これまでデジタルアイデンティティの分野で20年以上に渡り活動をしてきました。近年は主にOpenIDファウンデーションジャパンの代表理事としてOpenID関連技術の普及啓発活動や国際標準仕様の策定に関する活動、各種政府委員などの活動を行っています。デジタルアイデンティティと防災の間には実は非常に大きな繋がりがあると考えています。例えば、マイナンバーカードは東日本大震災の際の身元確認の困難に起因する混乱を教訓として検討が大きく進みました。今後の都市における防災においてはデジタル技術をうまく活用して共同体(コミュニティ)を有機的に構築することが非常に重要です。そのコミュニティを構成する個人を表すのがアイデンティティです。プライバシーやセキュリティに配慮しつつ、いざという時に共助の関係を迅速に構築し、災害に強い街づくりを推進するにはデジタルアイデンティティ関連技術の社会実装が欠かせないと確信しています。

「相手を一定レベルで信頼する事」で、社会の日常はなりたっています。経済活動や言論空間や日常のコミュニケーション等をはじめとする社会関係の世界において、多くは無自覚的にですが、Trustが社会の仕組みを下支えしています。“新たな防災”、“「共」に宿る「大きないのち」の再生と再構築“において、人々の繋がりを生み出す事や、場(コミュニティ)の形成と運営を助ける仕組みづくりは重要な要素と考えています。その上で、デジタルトラスト、共感や信頼の可視化、人間の認知能力や判断能力や処理能力を補完するAI技術、XR技術、自律・分散・協調モデル、相互運用性の担保の国際標準、共感経済モデルなど、様々な要素のデジタル技術および学際的なアプローチが必要になると考えています。民間企業における長年のICTとビジネスに係る経験を活かしつつ、学際的アプローチによる産官学共創の道筋へ繋がる事に少しでも貢献できれば、と考えています。

文化人類学を専門として、仮想世界の人々の暮らしの研究を行ってきました。また実生活では南海トラフ巨大地震に備える和歌山県南部に移住し、生活の中で防災に関わってきました。少子高齢化が進む中でますます災害リスクの高まる地方と、それとは一見無関係のように広がる仮想世界を行き来しながら、人と人、人と人ならざるもののつながりを基点にした、さまざまな命を大切にする社会のあり方を考えていきたいと思います。
連携図
これまでの連携実績
これまでSSIサロン、SSI地域・まちづくりフォーラム、SSI シンポジウムなどの「共創の場づくり」や、「JST共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」への応募などでご協力いただいた組織
企業
- 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
- 大和リース株式会社
- 株式会社アートローグ
- Amame Associate Japan 株式会社
- Continuum. Social Inc.
- クロスメディア・コミュニケーションズ株式会社
- 株式会社ダイセル
- NHKエンタープライズ
自治体
大阪府/兵庫県/和歌山県/大阪市/大阪市港区/大阪市大正区/大阪市生野区/大阪市此花区【以下、大阪府内自治体】池田市/和泉市/泉大津市/茨木市/大阪狭山市/貝塚市/河内長野市/岸和田市/熊取町/堺市/四條畷市/吹田市/摂津市/泉南市/高石市/田尻町/忠岡町/豊中市/寝屋川市/阪南市/岬町/箕面市/八尾市/【以下、兵庫県内自治体】川西市/神戸市/【以下、和歌山県内自治体】広川町/【以下、奈良県内自治体】橿原市/広陵町/十津川村/【以下、鹿児島県内自治体】鹿屋市/【以下、ガーナ公的機関】La Dade-kotopon Municipal Assembly(ガーナ)/Land Use and Spatial Planning Authority(ガーナ)
大学
- 東京大学
- 兵庫県立大学
- 近畿大学
- 関西学院大学
- 東洋大学
団体・協会等
関西広域連合/公益財団法人 大阪府都市整備推進センター/公益財団法人 九州経済調査協会/千里ニュータウン再生連絡協議会/貝塚市立西小学校/Abese Adonten Educational Trust(ガーナ)/La Anteson Roman Catholic Primary School(ガーナ)/JICA関西/give space アーバンデザイン方法論/Global Sustainability Network/特定⾮営利活動法⼈ジェン(JEN)/特定⾮営利活動法⼈クロスフィールズ/日本モンテッソーリケア協会/さつきデザイン事務所/道草工房
上記の組織と連携したSSIサロン、SSI地域・まちづくりフォーラム、ワークショップ
(New-PODの設立や企画に繋がったもの、New-PODの活動の一環として実施したもの)
- 「アフリカ 未来社会」(第9 回SSIサロン、2019 年11 月21 日)
- 「福祉の空間化–命をまもり、はぐくみ、つなぐ『まちづくり』–」(第12 回SSIサロン、2020 年10 月29 日)
- 「時間とは何か 過去と未来の創造」(第13 回SSIサロン、2020 年12 月22 日)
- 「国境を越える命 多元的『共創』の可能性」(第14 回SSIサロン、2021 年6 月24 日)
- 「命を支える新たな『環境・エネルギー』の可能性」(第15回SSIサロン、2021年12月8日)
- 「『心の世界』と『実世界』をつなぐ『新たな防災』の可能性」(第17 回SSIサロン、2023 年2 月28 日)
- 「官民連携事業における新たな事業スキームと空間整備手法について」(第1回地域・まちづくりフォーラム、2021年2月16日)
- 「『新たな防災』から命を大切にする未来社会を考える」(第2回地域・まちづくりフォーラム、2022年2月21日)
- 「地域における重層的支援体制の構築にむけて」(第3回地域・まちづくりフォーラム、2023年3月1日)
- 「経済、労働、まちづくりの複合的視点から検討するSDGs の横断的達成と 「いのち宣言」の具体化に向けたワークショップ」(2023 年10 月15 日)
- 「生きることと働くこと–いのちを大切にする経済社会とそれを支えるまちづくり–」(第6回SSIシンポジウム、2024 年3 月28 日)
阪神・淡路大震災以来、災害ボランティア活動に注目してきました。見ず知らずの人々のいのちとくらしに寄り添いながら、状況の変化に臨機応変に対応していく姿に魅了されています。災害ボランティアのグループ・ダイナミックスを新たな観点から考え、実践していきたいと思います。